経済と景気の良し悪し
景気は経済活動全般のことを指すため「経済が良い=景気が良い」と捉えることができます。
経済と景気の良し悪しによって日本経済全体がどのように動くのか解説いたします。
景気と経済は同義語?
広義に捉えた場合は景気と経済は同義語と解釈しても問題ありませんが、厳密には若干異なります。
景気・経済の良し悪しの表現で活用する場合における、広辞苑の解説をご覧ください。
・景気 → 売買・取引などの経済活動の状況。特に、活発な状態。好景気。
・経済 → 人間の共同生活の基礎をなす財・サービスの生産・分配・消費の行為・過程、ならびにそれを通じて形成される人と人との社会関係の総体。転じて、金銭のやりくり。
上記の内容を見れば経済の方が幅広い意味を持っていることが伝わりますが、明確な違いを簡単に理解できる内容ではありません。
分かりやすい事例を紹介すると、企業がリストラをして利益率を大幅に高めたとします。
そして残った社員へ賃金アップなどの還元を行った場合は、残った従業員に限定して景気が良い表現を使えます。
しかし、リストラをして雇用環境が悪化しているので経済は悪化したと判断される状況です。
このように景気は状況に応じて範囲を限定する使い方があるのに対して、経済は日本や世界全体のことを指す点が景気・経済の大きな違いです。
このように景気は状況に応じて範囲を限定する使い方があるのに対して、経済は日本や世界全体のことを指す点が景気・経済の大きな違いです。
景気判断基準
経済や景気の良し悪しは以下の方法で判断されるケースが多いです。
- 経済指標(GDPなど)
- 専門家の見解(月例経済報告基調判断、内閣府経済社会総合研究所など)
- 日経平均株価
- 大企業の決算
- 雇用情勢
- 企業の平均賞与、ベアなど
- 世論調査
このように景気判断基準は多数ありますが、本当に経済と景気が良くなれば全ての基準が良い方向を示すものです。
昨今は経済政策の影響などで、大企業勤務者の景気は良くなるけど中小企業勤務者の待遇が変わらない格差が生じています。
複数の景気判断基準で良い結果が出ている時は信憑性が高く、マチマチな場合は経済全体として横ばいに近い状態だと見ておくとよいでしょう。
景気・経済とお金の動き
景気が良くなれば、物が売れて会社が儲かる。そして国民の総所得が増えて更に物を買う人が増える好循環が発生し、経済が円滑に回ります。
さらに所得や事業者の売上が高めれば必然的に税収が高まり、公共事業をはじめ国民のために投じる税金を増やしやすくなります。
税収は企業の利益から徴収するものだけではなく、新たな雇用の創出によって増える要素も大きいです。
求人倍率が低下すれば雇用保険の支払い額が減るなど、国と経済全体へ様々な観点で良い影響を与えます。
景気が悪くなった場合は、物が売れずに所得低下、税収減少など負のループに陥ります。
ただし、景気が良い状態と真逆になるとは限らず、景気刺激策として景気が良い時より多額の税金を投入されるケースが多いです。
2020年に全国民へ一律10万円の給付をした定額給付金は記憶に新しい出来事ですよね?
税金は国債を新規発行するなど赤字で対処できるため、景気が悪くてもお金の流通量が増えることがあります。
しかし、景気が良い時に比べて相乗効果が少なく、雇用環境の悪化など税金の投入だけでは直近の問題を解消できないことが多いです。
そのため、経済全体を成長させるには景気刺激策を通じて将来的な景気そのものを良くしないといけません。